第52戦(6月9日)

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猛虎だ!2209日ぶりの首位

TOP野球全開…夢運んだ新庄

 野村阪神が、つ、い、に、首位です。シュイ。セの頂点です。あ〜、久しぶり。93年5月22日以来、2209日ぶり。中日と同率とはいえ、堂々の首位です。6回、完封男の広島紀藤を砕いた大三塁打と、7回のラッキー呼ぶ好走塁の新庄、ありがとう。福原、リベラ1点差締め、ありがとう。何より野村さん、ありがとう。最下位まで3・5差の大混セやけど、このまま突っ走ってや、野村阪神。

6月9日・大阪ドーム
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
広 島
阪 神
【勝】福原【S】リベラ【敗】小林幹

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 夢ではない。ついに、ついに、虎が首位だ。その時間、6月9日午後9時25分。東京ドームで中日が敗れるのと、時を同じくした歓喜の瞬間だった。長かった。中村監督時代の93年5月22日以来、丸6年。実に2209日ぶり。待ち焦がれたセ界の頂点に野村阪神が立った。チーム作りの「種蒔き」と位置づけたTOP野球1年目。それが、たった52試合目での開花だ。

 居残った右翼席のファンから「優勝、優勝、タイガース」の大合唱が沸き起こった。みんなが万歳万歳を繰り返す。野村コールも響く。それを耳にしながら、ベンチ裏で、野村監督が口を開いた。「ほう、首位か…。エッ首位?」。知っているのに、目の玉をむいて、とぼけた。「でも(中日と同率で)並んどんのか。それじゃあ違うやないか。貯金が(4では)少な過ぎるよ」。ケチをつけながらのジョークには、キレがあった。

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 ヤクルト時代は当たり前の首位。だが阪神の将としてトップに立つ感慨は、また格別だった。格好よくはない勝利。しかし、そこに相手のミスに乗じるTOPの神髄があった。首位を運んできたのは新庄だ。

 同点の7回1死満塁。ブロワーズの打球は二塁前への併殺コースへ飛んだ。ドームを悲鳴が包んだその時、一塁走者新庄が“頭”を使った。二塁手木村の前を、ゴロを隠すように走塁。すると一瞬打球を見失った木村が、打球をファンブルした。「ああいうゴロが飛んで来たら、(木村の前を)通り越そうと思ってたんですよ。でもあんまり横に広がったらアウトになるところでしたね」。してやったりの新庄が手を叩いて二塁に到達した時、高波が決勝のホームインをしていた。

 「あの時は(打球を落とせと)念じたよ」。野村監督もその瞬間、女神に祈った。「ヒーローなき戦いやが、新庄がウマかった。(木村は)かなり気になったんじゃない。(守備妨害ではと)抗議してたほどだもん」。野村監督が振り返った。

 「あのころとは違いますよ」。新庄は言った。「あのころ」とは、同じく首位に立った93年のこと。背番号63の新庄はただ無我夢中でバットを振っていた。だが今季10年目。野村監督という最高の指導者を得た。

スタメン
阪 神広 島
坪 井森 笠
田 中木 村
新 庄緒 方
ブロワーズ金 本
大 豊ディアス
今 岡玉木朋
佐々木新 井
矢 野西 山
吉田豊紀 藤

 「比べても今は、余裕があるんです。きょうの試合の7回のあの場面だって…」。6回には3試合連続完封中の紀藤から三塁打を放ち、今岡の先制打を呼んだ。そして7回2死二、三塁では今季初の敬遠。4番B砲勝負を演出した。何もかも6年前とは違う、成長した新庄がそこにいた。

 「これから、おもしろくなるんじゃないですか」。新庄が帰り際、ナインの心意気を代弁した。長いシーズン、このままとはいかないかもしれない。が、夢を見れるチームになったことだけは確かだ。

<写真上=耐えてしのいで連勝、奪首だあ! 踏ん張ったリベラも、出迎える野村監督も、ナインもファンも、みーんな「6年ぶり首位」の笑顔でいっぱい 写真下=やってくれました、ノムさん。2209日ぶりの首位に、新庄と感激のハイタッチ>

 今岡(6回2死三塁で、2試合連続完封中の紀藤から先制の中前タイムリー)「どんな形でもいいから、走者をかえそうと思ってました。センター返しを心掛けたのがよかった」


6・9は虎ラッキーデー!?

 <温故知神> 奇遇です。6月9日、この日は阪神にとっては、ラッキーデーかもしれません。92年、初めて首位にたったのが6月9日の中日戦8回戦でした。これが優勝した85年以来、実に2420日ぶりの首位でした。この試合、葛西がプロ初の完封勝利の3勝目。打っては、6番新庄が中日外国人投手のアンダーソンから2二塁打の3打点と活躍しました。その日までの首位が野村監督率いるヤクルトだつたのも、何かの因縁かもしれません。


3度目の正直…ついに歓喜締め

福原5勝、リベラ9S

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 踏ん張った。絶対に勝ち越しだけは許さなかった。新人セットアッパー福原が、7回無死一、三塁の大ピンチも、最少1失点でしのぎ、メイと並びチームトップの5勝目で、首位に立つ記念すべき白星をつかんだ。

 「勝ててよかったです。ホントに」。

 1点リードの7回、無死二塁で登板。直後の森笠は正面へのバントだったが、一度三塁に投げようとした分、一塁も間に合わない。バント安打で無死一、三塁としてしまった。しかし、「同点覚悟? イエ、ボクは1点もやらないつもりでした」。結局、木村に同点犠飛は打たれたものの、その後は力で封じた。続く緒方に、6球ファウルで粘られたが、こん身の10球目、低めスライダーで三振。この力投が、その裏の決勝点を呼んだ。

 「(吉田)トヨさんに申し訳ないです」。先発吉田豊の勝利投手の権利を失ったことに、頭をかいたが、自身も5月16日以来の白星だだ。この間、2度のサヨナラ負けを含め、3度救援に失敗。並のルーキーなら、ショックで立ち直れないかもしれない。しかし、福原は「立ち直るも何も、ショック自体、なかったですよ」と笑い飛ばした。

 最後はリベラだ。9回、2安打と四球で2死満塁。同点どころか一打逆転の場面。しかし百戦錬磨の守護神は、ディアスを遊ゴロに仕留め9セーブ。大事な勝利をキープした。「最後も自信を持って投げたよ。首位? チームが一丸となれば、結果はおのずとついてくる」。今季初のお立ち台で、虎党を沸かせた。連夜の福原―リベラの必勝リレーが、ついに首位をもぎ取った。

<写真上=吉田豊をリリーフした福原は、リベラとの必勝リレーでラッキーな5勝目を挙げる>


粘投の吉田豊、白星スルリ

 先発吉田豊の手から、2カ月ぶりの白星が逃げた。1―0と1点リードの7回表、先頭の代打朝山に二塁打を浴びて降板。代わった福原が失点し、吉田豊の勝ちが消えた。「調子がよくなかったので、気持ちで負けないよう自分に言い聞かせていた」。必死の投球は、またも実らなかった。

 勝ちたかった。4月7日の広島戦(広島)で先発として1305日ぶりの勝利を挙げて以来、勝利の味を忘れている。それどころか、両リーグワーストの6連敗まで記録。それを止めるチャンスだった。

 持ち味は発揮した。5、6回以外は毎回得点圏に走者を背負ったが、粘りに粘る。低めに球を集め、適時打だけは許さなかった。「自分なりにはなんとか粘れたと思う」。勝利に沸くベンチ裏で、ひとり複雑な表情の吉田豊。このうっぷんは、次回登板にぶつけるしかない。

吉田豊再生にこだわったノムさん

 <あんな話こんな話> 63歳の野村監督が現役復帰を夢見ることがあるという。「やってみたいよ。配球は自信あるよ。だれとバッテリーを組むか。そりゃもちろん、ノーコンピッチャーだよ」。エースならだれが受けても同じ。球威がなかったり、制球不足をいかに導くか、そこに捕手としての醍醐味がある。

 だから、監督はこの日先発の吉田豊にこだわってきた。「何とか再生できないものか」。2月のキャンプで目をつけ使い続けた。「あいつのダメな時はこうなんだ」。5月、試合後の会見で、何度も何度も吉田豊のピッチングフォームを実演した。話すうちに声は大きく、興奮してくるのがひしひしと伝わってきた。

 それだけ、「この手で復活させたい」という思い入れが強い。「オレも野球をやってるんだ」が、口癖だ。同率首位に立った試合、先発していたのが吉田豊というのも、監督ならではの巡り合わせだった。


坪井9度目の猛打賞

 坪井が今季9度目の猛打賞を記録した。必死に走った内野安打2本と、あざやかな左前打。初回は、先頭打者として出塁した後、田中のセーフティバントの間に三塁まで陥れた。5回には死球でも出塁しており、4打席4出塁。それでも、2度も本塁で憤死するなど、反省点もある。試合後は「きょうは僕はいいですよ」と話し、静かにベンチ裏の奥に消えた。

B砲にノムさんチクリ

 前夜会心の本塁打を放ったブロワーズが、この日は不完全燃焼。7回二ゴロ失策の間に決勝点が入ったが、不満足な内容だった。初回は1死一、三塁の好機で一ゴロ。3回は2死二、三塁で三ゴロ。6回にも無死三塁で三振し、4打数0安打。野村監督は「4度とも絶好のチャンス。代えたかったが、見せかけの信頼も必要」と、チクリ。B砲も「きょうは何も話すことがない」とうつむいていた。

秀太またいい仕事

 和田の代役・田中が、2夜連続のいい仕事だ。1―1で迎えた7回裏無死一、二塁の場面。野村監督から「二塁走者は(足の速い)高波だから、気楽にバントしろ」と、耳打ちされ、見事に実行した。「監督がプレッシャーを取ってくれました。ガチガチになってもおかしくない場面だった」。2犠打1安打と2番打者らしい仕事も果たし、試合後は笑顔を弾けさせていた。

(28勝24敗)


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