第7戦(4月11日)

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監督にバ声、リベラ“造反”

準備不足の登板でプッツン

 リベラが、こともあろうにノムさんに噛みついた。野村阪神の本拠甲子園の開幕試合となった11日の中日戦。延長10回1死満塁のピンチに緊急登板したリベラは、井上に三塁打を打たれた。そのリベラ、ベンチに帰るや、野村克也監督を指差し、バ声を浴びせ緊急登板起用を非難。試合後、事情聴取されて罰金のペナルティーを通達された。終盤、大豊の代打同点弾で追いつく粘りを見せた阪神。熱戦はいいが、熱くなりすぎるのも…。

4月11日・甲子園
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
中 日
阪 神
【勝】中山【S】宣【敗】弓長


試合後「罰金」通達される

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 左手に帽子を握ったリベラが右手のグラブを前方に突き付け、バ声をあげた。「準備ができてない!」。視線の先にいるのはベンチに座り込んだ野村監督だ。「何言うとんねん」という表情でリベラを見返した。その隣で松井ヘッドコーチが困惑した表情で見守る。一瞬、静まり返った一塁側ベンチ。何事だ。そして騒然となった。リベラが野村監督に、面と向かって歯向かった衝撃の瞬間だった。

 リベラはそのままグラブを放り出し汚い言葉を吐いた後、「ファイブボール!」などと言ながら、試合途中にもかかわらず、ロッカーに引き揚げてしまった。すさまじいまでの怒りの表現に周囲はあ然とするしかなかった。

 9回裏のサヨナラ好機を逸した直後、延長10回表がリベラの出番だった。1死満塁、打者井上の場面でリベラは7番手投手として登板。しかしカウント1―3から置きに行った138キロの真っすぐを打たれた。中越えの打球は3打点の三塁打となり、試合が決まった。リベラが荒れ狂ったのはその後、打者を打ち取りベンチに戻った時だった。

 怒りの理由はブルペンでの準備不足だ。登板の指令が出て、あわてて用意したが5球しか投げられなかった。この日、8回の同点時には一度、肩を作っていた。しかし、10回表には準備せず。それが急きょのお呼びとなった。走者のいないイニングの頭から登板するのがこれまでのリベラのパターンだったが1死満塁での登板だ。

 今季から導入された新しいリリーフカーを拒否し、歩いてマウンドにあがったリベラはプレートを蹴り上げた。1球投げた後ストレッチをするなど、準備ができていないのは傍目(はため)にもわかった。球にも力がこもっていない。しかも、精神状態も肩も万全でない状況で案の定、打たれた。

スタメン
阪 神中 日
坪 井 李 
和 田福 留
平 塚関 川
ジョンソンゴメス
今 岡立 浪
吉田豊山 崎
星 野井 上
矢 野中 村
川 尻野 口

 「準備ができていなかったと怒っていたらしい」と首をひねった監督だが、ブルペン担当の福間投手コーチ補佐は「リベラがOKというから投げさせた」と言う。登板を了承しながら、イライラの果てのバ声。球団はリベラの行動を無視できず、試合後、約1時間にわたって事情聴取を行った。

 リベラに通訳をつけて監督、松井ヘッドコーチ以下、八木沢投手コーチら担当コーチ、それに石田管理部長が入って話し合った。また、今後も走者のいるピンチでの登板もあることを納得した上で、リベラは最終的に反省を表明した様子だ。聴取後、報道陣の問い掛けには「特に何も言っていない」と言葉少なだったリベラ。聴取を終えた監督も「大したことじゃない」と多くを語らなかった。しかし、当然のことながら監督批判という行為に罰金が通達された。

 松井ヘッドコーチは「外国人選手との行き違いはどこの球団でもよくある。こんなことで遺恨が残っても仕方ないし、リベラが次から頑張ってくれればそれでいい」と話すにとどまった。しかし守護神が監督に見せた造反とも言える態度が、今後にどう影響するか心配される。

<写真=延長10回、緊急登板で井上に走者一掃の三塁打を浴びたリベラ(右端)は、野村監督が陣取るベンチ奥に向かってバ声を浴びせる>

みんな指示待ち族や

 ▼野村監督の判断「だれが行っても抑えるのはむずかしいんだけど伊藤よりいいかなと思った。満塁だから四球がこわかったんだけど。(リベラは)準備ができていなかったと怒っていたらしいな。確かめたんだけど、1回肩を作って休んでたそうなんで、すぐやってくれって連絡したんや。5、6球投げて、マウンドに行ってから8球投げたやろ。こっちも気を使ってレフトを代えたりしてるんだから、矢野もその合間に投げさせればいいのに知らん顔や。リベラはすぐに(肩が)できると聞いたからな。つぎ込む気もなかったんだけど…。こっちも守備固めとかで連絡が遅れるときもあるわな。投手がいないんだから自主的に軽くやっていてくれたらええんや。みんな指示待ち族や。こんなに状況が詰まってきてるのに、軽くキャッチボールをするのがそんなに疲れるのかな」。


甲子園は興奮したが…

ノムさん「善戦空し、やな」

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 惜しくも甲子園開幕戦は飾れなかった。星野中日に開幕7連勝も献上。初の連敗で借金は「1」に逆戻りした。だが一方的に叩きのめされた敗戦ではない。粘った。沸かせた。敗色濃厚の0―3から、終盤怒とうの大逆襲。7、8回で同点に追いつくと、9回にはサヨナラ寸前まで盛り上がった。昨年までの弱虎とは明らかに違う。その野村ニュー阪神に、4万1000観衆も沸いた。

 激闘を演出したのは、大豊だった。7回2死から1点を返し、迎えた8回2死二塁のチャンスに「代打大豊」のコール。「たぶん内角の直球だろうけど、打った感じは覚えてないよ」。無心の1号2ランは、黄色いメガホンが揺れる右翼席へ飛び込んだ。落合から起死回生の同点劇だ。

 これまでなら、0―3で7回を迎えた時点で、ジ・エンドだったかもしれない。だが今年は選手全員、勝利への執念が違う。7日の広島戦でも0―2の8回から逆転勝ち。終盤まで、目を離せないのが今年の阪神だ。

 大豊はキャンプから、野村監督に「すべてにおいて個人主義や」と非難を浴びていた。「まず自分が成績を残すことが、チームの勝利につながる」(大豊)。そんな意識は、キャンプからの「野村の考え」でフォア・ザ・チームに大変身。「今一番ベンチで元気に声を出してるのはだれやと思う? 大豊やで」。福本守備走塁コーチが明かすよう、スタメンを外れても腐らずにナインを励まし、必勝を祈る日々だ。

 その勢いで雪崩込んだ9回は、2つの四球に送りバント、坪井のヒットをからめ、1死満塁のサヨナラチャンス。「あれは何が何でも打たなアカン場面や」。ここで平塚が逆に力を入れ過ぎ、遊ゴロ併殺に倒れた。サヨナラ勝ちという、これ以上ないシナリオは夢に終わったが、ファンは試合後、温かい拍手を惜しまなかった。

 野村監督も負けた悔しさ半分、ある種、試合内容には満足していた。「善戦空し、やな。いい試合やったけどな。大豊はよう打った。でも平塚が決められんかったら、この試合はあそこで終わりや。勝てばお客さんも喜んでくれたやろうけどね…」。課題も多いが、猛虎再建は着実に進んでいる。指揮官にもその手ごたえは、十分ある。

<写真=絶好の野球日和の日曜日。甲子園球場に詰め掛けた4万1千人のファンがジェット風船を上げゲームを盛り上げる>


坪井2安打“光見えた”

7回、今季初の適時打放つ

 不振の坪井に光が見えた。7回に今季初の適時打を放ち、追撃の口火。さらに、9回には、坪井らしい技ありの安打を放ち、やっと打率も1割6分7厘とまで上げてきた。

 「2本目のヒットの形が、去年の坪井なんだよ」。柏原打撃コーチが光明を見いだしたのは、9回の第5打席。2―2と追い込まれながら、外角直球に対し、バットを投げ出すようにして、三遊間を破った。上半身は崩れかけながら、下半身でしっかりとタメを作る。3割2分7厘を残した1年目の振り子打法が、この打席ではよみがえっていた。

 笑顔こそなかった坪井だが、結果が出たね、という報道陣の質問に対して「ハイ」と力強くうなずいた。柏原打撃コーチとも、「この感じを忘れずにいこう」と確認しあった。この試合まで、打率はわずか1割2分。8日の広島戦では、代打を告げられるという屈辱を味わった。野村監督の信頼を取り戻すには、安打を積み重ねていくしかない。

福原あぁ“幻の2勝目”

2イニングぴしゃり、サヨナラのはずが

 ああ、2勝目が…。ドラフト3位福原の2勝目は、惜しくも幻に終わった。1点を追う8回から4番手で登板し、2イニングをピシャリ0封。この間味方は同点に追いつき、9回サヨナラならば、早くも2勝目が転がり込んで来るハズだった。「惜しい? いやいや、そんなことはないです。それよりも自分でピンチを作ってはいけません」。

 逃した夢の単独ハーラートップよりも、福原の不満はヒットと死球で8回1死一、二塁のピンチを招いたこと。だが李を中飛、久慈はこの日最速146キロの外角低め直球で見逃し三振に料理。7回もゴメス、立浪、山崎の主力を3人斬りし、4万1000大観衆の前で、挨拶代わりの非凡な才能をアピールした。広島広陵高時代は踏めなかった憧れのマンモスは「投げやすくて気持ちいい」とか。背番号28がますます躍りそうだ。

川尻、不運のち幸運?

 不運のち幸運? 川尻がアンラッキーにも見舞われ、5回3失点でマウンドを降りた。「調子自体は、(初勝利を挙げた)前の登板(3日、対巨人)と変わらなかったけど」。初回の先制点は、山崎の内野安打。5回の3点目も、左翼手平塚の拙い守備をきっかけにしたもの。おまけに、きわどい球をボールと判定されることが多く、首をひねる場面もしばしばだった。「それでも抑えきゃいけないから、言い訳にはしたくないけど」。“不運”続きに苦笑いを浮かべた。しかし、終盤に味方打線が追いつき、黒星はつかず。「最後はラッキー? そうだなあ」と豪快な笑いも飛び出したように、KOの後遺症はまったく心配ない。

(3勝4敗)


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