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野村監督、長嶋Gに夢砕かれた開幕戦9連敗でワーストタイ
ゲームセットの瞬間、野村監督はやんちゃっ子のように帽子を浅くかぶってベンチに座っていた。精神的疲労からか、フーッとため息をついて報道陣の輪に入った。「黒星スタート? 負けたのは仕方ないよ」。ボソッとつぶやいたのは、せめてもの意地か。力の差をまざまざと見せつけられた開幕決戦。強烈な長嶋巨人のパワーに、野村IDが木っ端微塵(みじん)に砕かれた。 監督通算2226試合目。名将には慣れっこのはずの開幕だが、珍しく試合前は“貝”になった。報道陣との談笑を避け、ケージ裏で打撃練習を見守った。開幕セレモニーではライバル長嶋監督と最大5メートルまで接近。しかし視線は合わせない。「開幕は135分の135。負けたら終わり」。ペナントを左右する開幕戦に全精力を傾けていたのだ。 先発は正攻法のエース藪と決めていたが、打線は最後の最後まで悩んだ。桑田か、ガルベスか。この日になってガルベスの先発がほぼ濃厚と知り、3番大豊、7番佐々木の新オーダーで挑むことを決めた。奇襲打線について「去年のデータだと左の方が率がいいから」と説明したが、2人のベテランの意気にも期待していた。チーム3安打のうち、大豊と佐々木が1安打ずつ。野村さい配は的中したが、ガルベス攻略へのハードルは高かった。 今岡の左越えアーチで先制。藪が4回まで2安打ゼロ封。序盤は阪神ペースだった。しかし5回、元木に逆転2ランを浴びて流れは巨人に移った。 「元木にだまされたよ。右へ(進塁打を)打ってくると思ったんだな。キャッチャーはボールにしてほしかったんだろうが…。1点でいけば向こうも焦ってくるだろうけど、元木のホームランで生き返った。力のあるチームだから、ああなるとなぁ…」 ID野球がクレバー打法で敗れては、もう封じる手立てはない。8回には高橋に満塁弾を浴びるなど一挙6失点。ヤクルト時代、獲得に失敗した因縁の相手に引導を渡された。前夜(1日)、「ミーティングで完全試合や」と豪語していたシナリオは、机上の空論となった。左トリオに最も注意を払っていたはずが清水、高橋に3安打ずつ、松井にも1安打。「ミーティング通りにいかないのが野球だ」。最後は自嘲気味に言った。 これで阪神の開幕戦は9年連続黒星。西武と並んでプロ野球記録タイとなった。タテジマ初陣が、不名誉な記録になるとは…。たかが1敗、されど1敗。開幕戦にすべての照準を合わせてきただけに、この大敗のショックは尾を引くかもしれない。 <写真=「ID」も「TOP」もムナしトラ打線…阪神の開幕戦9連敗にノムさんもシュン。今日はこれぐらいで堪忍したるワイ!?>
藪、主砲抑えたが…魔の1球清原に内角意識させ、ほんろう
敗戦を喫したゲーム後、藪の女房役を務めた捕手矢野が声を絞り出した。
97年(平9)だけで3死球、続く98年(同10)も右手親指に死球を与えるなど、2年間で4死球で遺恨を残した。相次ぐ死球禍で因縁深い「エースと4番」。2人の3打席の直接対決は、1本のヒットも許さなかった藪に軍配が上がった。 ◆清原の内角アレルギーを逆手にとった藪(1回裏2死一塁で三ゴロ) この打席で藪が投じた7球のうち、5球までが変化球。それも、外角球の緩い球でカウントを稼いで、最後は2球続けて内寄りの真っすぐで仕留めた。この場面について、捕手の矢野は「清原さんは相当インコースを意識していた。緩急の投球も、どちらかというと急が強い人だ」と、変化球の使い方に気を配った。つまり、阪神バッテリーは、外角球を“見せ球”にして、清原に対して、余計に内角を意識させる配球をとった。 真弓明信(本紙評論家)の裏付け 清原は内角に対して意識過剰になっている。だから、外角を投げることによって、余計に内を意識させることになる。ネット裏から見ていると、あの場面に限らず、どの打席でもインコースを意識しているのがわかる。 ◆モデルチェンジを見せた藪(6回2死一塁で遊ゴロ) この場面でも、藪は変化球を多投した。結局、清原に投じた全16球のうち、真っすぐは、たったの4球だった。今まで力で押すタイプの藪が、ガラリと投球スタイルを変えた。 真弓の目 昨年までは変化球と直球の腕の振りが違ったから、ボールを見極めやすかった。でも、今年の藪は、それが一緒だから、バッターにとっては絞りにくい。本格派というイメージはなくなった。 試合後の藪は「要所ではコーナーに決まっていたんですが」と振り返った。主砲を完全に抑えながら、伏兵元木に手痛い一発を浴びた。藪がまたしても勝負の厳しさを思い知った。 快調ペースも、元木に逆転“痛ラン”快音と同時に、藪は天を仰いでいた。しかめっ面の先で、白球は瞬く間に左翼席に吸い込まれて行った。1点リードの5回無死一塁。元木へ投じたこの日唯一の内角への失投が、藪を天国から地獄へ突き落とした。記念すべき野村阪神開幕戦勝利は水の泡。そして自身3度目の正直で挑んだ開幕戦初勝利も吹き飛んだ。虎のエース藪が1球に泣き、1球に散った。 「悔い? そうですね。あの1球だけですから…」。悔しさを圧し殺すよう藪は真正面を向き、東京ドームの通路を歩いた。一発以外はほぼ完ぺきに巨人打線を封じ、結局7回を5安打2失点。「藪は工夫しながらよく投げた」と、八木沢投手コーチも合格点を与える内容だった。一時は虎ファンに9年ぶり開幕星の夢もよぎった矢先…。「もう少し慎重に行けば防げた」と矢野は肩を落とし、それだけ余計に、悔いの残る1球となった。 だがIDを習得した藪は明らかに成長していた。この日の試合直前まで、宿舎で行った3日がかりのミーティングの成果を利用。因縁の4番清原には、公約通りの内角攻めで3打数無安打に抑えるなど、巨人打線の弱点を徹底についた。さらにキャンプで習得した新球ブレーキングボール(通称ドロップ)など変化球を有効に使い、新パターンの緩急投法でほんろう。明らかに巨人打線は、ニュー藪に戸惑っていた。 だが負けは負けと、藪は潔く認めた。「チームがこうなると、全部先発の責任ですよ」。自らの降板後、救援陣が滅多打ちに合った責任を藪は口にした。だがこれも明らかなエースの自覚。そしてにじみ出る雪辱。お預けとなった初星は次回8日の広島戦(広島)で飾りたい。 今岡、景気づけ1号技あり一打も敗戦にシュン意外性を秘める“天才”今岡が2回、ガルベスから先制ソロ。2―0と追い込まれながら、内角高めに大きく外れるボール球を、図ったように左翼ポール際へ運んだ。「大事な開幕ゲームで、しかも第1打席でホームランが打てたことはうれしい」。開幕初スタメンの第1打席で、難しい球を本塁打。いかにも今岡らしい一発だった。 しかし、打線はこのソロによる1点だけで沈黙。今岡も続く2打席は凡退に終わった。「負けたら意味がない。コメントのしようもないです」。逆転負けの試合後は唇を噛み締めたまま。オフからの目標としていた開幕スタメンを手に入れたが、この日立てた新たな目標を果たせなかったのが悔しい。「とにかく勝ちたい。巨人が相手というのは関係なく、絶対開幕戦は勝ちたいんです」。若虎のリーダー役として、常勝チームへの変革を心に期していたただけに、開幕逆転負けのショックは大きかった。 大豊スタメン1安打攻撃重視のオーダーで大豊が阪神移籍後初めて左翼でスタメン出場した。期待に応え、初回にガルベスから今季の阪神の初安打となる右翼線二塁打を放った。その後はヒットなく4打数1安打に終わったが守備では飛球も飛んでこず難なくこなした。コメントせず球場を引き揚げた大豊に代わり、松井ヘッドコーチは「守備でボロが出なくてよかった」と話していた。
福原「緊張した」ドラフト3位の福原忍投手(22=東洋大)が痛烈なプロの洗礼を浴びた。8回裏1死一、三塁のピンチでいきなり清原と対戦。「緊張しました」と四球で満塁とし、続く高橋にカウント2―1から5球目のフォークを右中間席に打ち込まれた。「フォークが落ち切らなかった。(打たれた瞬間)プロだなあと思いました」。満塁被弾のホロ苦いデビューに無念の表情を浮かべた。
ブロワーズ、1四球悔し主砲ブロワーズはガルベスの前に音なしに終わった。初回に四球を選び、粘るところを見せたがガルベスが調子を上げた後半は手が出なかった。「もっとシュートを投げてくると思ったけど外角のボール球を打たされてしまったね」と自己分析。それでも「開幕直前で盛り上がった雰囲気に飲まれそうになっていたけど1試合終わってペースをつかめそうだよ」と切り替えていた。 (0勝1敗) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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