第54戦 (6月11日)
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新庄神話だ!3戦連発3連勝

これぞ4番、先制14号&猛打賞

 新庄が3戦連発で北海トラ祭りを盛り上げた。2回、第1打席で10連敗中の天敵三浦から左翼席へ先制の14号ソロ。4番の自覚に目覚め、打撃開眼の新庄はダメ押しタイムリーを含む猛打賞でチームをグイグイ引っ張り、今季2度目の3連勝に導いた。野村監督は「大人になったんじゃないの」とうれしそう。待望だった真の4番誕生…だれだってうれしいに決まってる。

6月11日・札幌
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
阪 神
横 浜
【勝】湯舟【敗】三浦
【本】新庄14号(ソロ=三浦)

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天敵・三浦撃ち

 「あの時とは、何もかもが違います」と新庄はいう。

 96年10月9日、シーズン最終戦の中日戦。新庄は試合前、甲子園の監督室に呼ばれた。「きょうは4番の責任を感じて打ってみろ!」。言葉の主は、藤田平監督休養の後を受けた当時の柴田猛監督代行(現巨人編成部員)だった。これが「4番新庄」最初の試合。そして期待通り初回、先制決勝の満塁本塁打を放った。だが当時の新庄は、愛称ブンブン丸が示す通り、悪く言えば“自己中心的”。その日を最後にユニホームを脱ぐ柴田代行に、帰り際も呼び止められたという。「君は将来のタイガースを支えて、4番を打って行く人材。そんな打者になって欲しいんだ。今の考え方のままではアカンんぞ」。

 その言葉を胸に4年…。野村監督の元で、今や堂々の4番を張れるようになった。芽生えた責任感、そしてチームを引っ張って行くリーダー意識…。だからこそ「何もかもがあの時とは違う」。今や主砲の風格を漂わせる新庄がこれぞ4番の働きで、チームを快勝に導いた。

スタメン
阪 神横 浜
平 尾石井琢
ハートキー波 留
タラスコ鈴木尚
新 庄ローズ
広 沢駒 田
根 本金 城
矢 野佐 伯
田 中谷 繁
湯 舟三 浦

 見せ場は1点リードの8回2死二塁。横浜2番手横山に2―1と追い込まれながら、ファウル4球で粘った。そして8球目。「どうしても1点が欲しい場面だったし、ランナーを返すことだけ考えてた」。ホームランは無用。内に来た変化球を、技あり軽打でレフト前に運んだ。4番の4度目猛打賞は貴重な千金タイムリーとなり、流れは一気に阪神へ。広沢、代打和田、矢野も続く4連打で、試合を決める4点を奪った。

 場面、場面に応じた打撃。それが新庄の成長の証だ。0―0の2回第1打席は、先発三浦のスライダーをフルスイング。先制14号ソロを虎ファンで埋まる左中間芝生席に届けた。先取点を許せば、1勝23敗1分けのチーム事情は十分承知。96年4月以来の3試合連続弾は何よりチームに勇気を与え、10連敗中の天敵三浦からついに白星を奪う一打となった。

5位・横浜に1ゲーム差

 前日「ボクが打つと、負けない流れになったでしょ」と胸を張った男は、この日も「ジンクスはまだある!」と豪語。3試合連続はいずれも貴重な先制弾で、これで野村阪神は3連勝、借金も5まで減らした。そして北海道では4年越しの6連勝で、5位横浜まで1差。新庄神話の誕生は頼もしいばかりだ。虎の連勝に酔った円山球場のスタンドからは激しい新庄コールと、高らかな六甲おろし。それは13日からの甲子園中日戦で、自己タイの4試合連発&最下位脱出を願う、道産子からの熱いエールだった。

<写真=2回、札幌のファンに豪快な14号アーチをプレゼントした新庄。4番の3戦連発で3連勝>

ノムさん「新庄は大人になった」

ご機嫌…一転強気「今日は実力で勝った」

 野村監督が新庄をほめた。「人間的なもんでしょ…。大人になってきているんじゃないか」。ン、ちょっと待ってよ。確かオープン戦のころ、新庄が「甘えん坊」と大人になりきれないことをボヤいたことがあったはず。3月19日のロッテ戦(千葉)で今季初アーチを放った新庄に対して野村監督はこう話した。

 「性格、考え方がダメにしてるんです。性格が災いしている。もっとしっかりすればいいのに、甘えん坊なんです」。期待が大きいからこそのボヤキ兼助言。あれから約3カ月。立派な4番打者に急成長しつつある新庄をなんと大人として認めようってこと? 新庄クン、よかったねえ。

 3連勝でご機嫌の野村監督は「今日は実力で勝ったやろ」と強気。湯舟の粘投にも「2回のピンチを1点でよくしのいだ。(あそこで連打されると)ゲームがこわれてしまうからな」とニッコリ。今季2度目の3連勝で借金は「5」。大人になった新庄を軸に、さあ混セの仲間入りだ。

対三浦10連敗で止めた

 <データセンター> ▼阪神が苦手の三浦から3年ぶりの白星。同投手に対しては、今年0勝2敗、昨年0勝3敗、一昨年0勝4敗と3年間白星がなかった。阪神が最後に土をつけたのは、97年6月8日、場所はくしくもこの日と同じ札幌。同8月25日の対戦から10連敗中だった。通算成績は5勝16敗。

“ハマキラー”湯舟、完投で4勝

リリーフ陣にいい休養

 日曜のお昼はやっぱりこの男にお任せだ。2回、大ピンチに見舞われたがベンチからの一喝で目が覚め、無死満塁を3者三振で脱出。終わってみればハマキラー湯舟が完投で4勝目です。そういえば日曜日のデーゲームはこの人、得意中の得意。お疲れのリリーフ陣にもいい休養ができた。札幌シリーズ、万々歳ですな。

唯一のピンチ2回無死満塁、会心の3連続K

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 弱気の虫を退治したとき、勝利の道が見えた。「あ〜終わった、やばい…。次も四球なら降板だな」。新庄のソロで先制した直後の2回裏。先発湯舟がマウンドでのた打ち回った。失策と駒田の安打から制球を乱すと連続四球で押し出しの同点。なおも無死満塁だ。球審の微妙な判定に苦笑いを浮かべても、頭の中には最悪のシナリオが浮かんできた。

 そこへ、SOSを察知した八木沢投手コーチがベンチから飛んできた。マウンドに寄り、湯舟を叱りつける。「回がまだ若いんだから。先発がそんなことだめだろ! しっかりせい!」。この一喝が効果てき面。弱気の虫を消し去った。

 「打たれたらしようがない。四球は最悪。(アウトにする)可能性がゼロだから。思い切っていこう」。開き直った左腕は、強気に攻めた。谷繁を外角高めストレートで空振り三振。続く三浦、石井琢とスライダーで連続三振に斬って最少失点に留めた。最初で最後のピンチを乗り切れば、もう後はハマキラーの貫禄でスイスイ。5回には2死から今季初安打で追加点を演出するオマケもあって散発6安打、今季最多130球の完投で4勝目を手にした。

 5月6日広島戦(広島)で湯舟が完封して以来、チームにとっても26試合ぶりの完投投手。先発スタッフの福原までブルペン待機させた“緊急救援部隊”にも休養をプレゼントした。

 「粘り強くボール球を振らせていた」。リードした矢野がベテランらしい投球術の復活を証言した。ここ2試合、続けて6失点降板の投球とはガラリ。今季マスターした新球シュートに頼り過ぎていた反省から、この日はスライダーで押した。「ここ一番でよく決まってくれた。それでもったようなもんや」。汗をぬぐった充実の笑顔が、復活の手ごたえをあらわしていた。

<写真=完投で4勝目を挙げた湯舟は矢野捕手からの祝福に会心の笑顔を見せた>

相性悪かった北都、これで“鬼門”返上

 <こんな話あんな話> 湯舟が北海道シリーズで先発したのは初めてのことだった。しかも登板どころか、遠征に帯同したのも実に4年ぶりだった。というのも、実は「北海道に来る前になると故障とかばかりだった」。運悪く風邪を引いたり、98年には左足甲の骨折に見舞われて戦線離脱していた。「おれには方角が悪いんや」。そう真顔で言うほど北の地との相性の悪さを感じていたが、この日の完投勝利でジンクスも消滅。しかも、今年でプロ野球開催が最後となる札幌・円山球場で阪神最後の勝利投手になった。

いいぞ!平尾、V三塁打

ドン詰まり…“北の幸運”この日も

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 トラのヤンチャ男がしぶい働きをしてみせた。平尾の右翼線に飛んだ詰まった打球は、とても快打とはいえなかった。だが、北の幸運はこの日も生きていた。ライト佐伯のダイビングも届かない。ヒットだ。ボールがフェンスに向かって転がる間に勝ち越しのランナーが生還。平尾は三塁に達していた。

 1―1で迎えた5回。2死からヒットで出た湯舟を一塁に置いて、カウント2―3から三浦のカーブをたたいた。ドン詰まりの打球が決勝の三塁打。前日は横浜の2点タイムリーエラー3度という神がかり的な守乱で白星をもらったが、この日もツキは残っていた。

 「とりあえず塁に出ることだけを考えていました。今は一生懸命にプレーすることだけを考えてます」。ラッキーV打のラッキーボーイはそう言って笑った。

 坪井の右足かかと負傷で10日からプロ初の「1番」に起用された。だが「打順は関係ないです」と、気にしているそぶりを見せない。しかし、実際はナイーブな一面がある。野村監督から「2番」を命じられた時も悩みに悩んだ。「2番ってつなぎ役じゃないですか。その状況に応じたバッティングをしなきゃいけないから難しいです」。そう打ち明けたことがある。合宿所の虎風荘に帰っても野球のことが頭から離れず、寝つかれない日々が続いたこともあった。

 だが、一方で思い切りのよさも平尾の特徴だ。幸運の決勝打はこの思い切りのよさが運んできた。平尾を高く評価する伊原守備総合・走塁コーチが話したことがある。「あいつはゲームを作れるヤツだ。今のウチには少ないタイプだ」。札幌連勝のラッキーボーイ。坪井の“定位置”を奪ってしまうような勢いと強運さが、今の平尾にはある。

<写真=5回、平尾は右越えに勝ち越しの三塁打を放ち、札幌連勝のラッキーボーイとなった>

快感!8回、今季2度目の4連打

猛攻4点で遠山、葛西“出番なし”

 終盤8回イッキ4点。阪神打線が相手横浜のマシンガンを彷彿とさせる連打猛攻で完投湯舟を援護した。新庄の3点目をたたき出すタイムリーのあと広沢、和田、矢野の2死からの4連打だ。チームにとって4連打は5月12日の巨人7回戦で記録して以来、今季2度目。しかも、3点差以上あけて勝つもの、その巨人戦(12―3)以来22試合ぶりという久々の快音、快感だった。

 中でも、声援の大きかったのが代打和田。横浜2番手の横山をKOした後、マウンドに上った左腕野村に、取っておき代打の出番だ。「あれだけ声援をもらったからね。打ちたかったよ」と、野村のフォークを一振。それがセンター波留の頭上を抜いて三走新庄、一走広沢を返す2点二塁打となった。7日の巨人戦では問題となったメイの暴挙直後の二塁打もあったが、この日は心から笑える打点つきツーベースだ。

 「勝ち味が遅いよ。たまたま後半に、うまくつながっただけ」。試合後は厳しい弁の松井ヘッドコーチだったが、この時ばかりはベンチもスタンドも大騒ぎだった。

福原ベンチ入り、救援態勢だった

 先発ローテーション投手の福原もスタンバイしていた。「そういう展開になれば投げるつもりでした。コーチから言われていた? はい」。本来なら“上がり”のはずが急きょベンチ入り。前日10日同カードで、中込が4回3分の1、70球を投げて好リリーフしていたため、福原ベンチ入りの措置がとられた。結局、出番はなかった。「中込がああいう状態だったから、だれか1人が入らなくてはいけなかった。今後? 企業秘密」と福間投手コーチ。ひょっとして抑え再転向と思わせたが、今後の起用法はベールに包まれたままだ。

ハートキー2失策

 快勝で沸き上がるベンチで、ひとり沈んでいたのが2失策のハートキーだった。2回には先頭ローズのボテボテの三塁ゴロを一塁へ悪送球。1失点の原因を作った。しかも9回にも谷繁のゴロを同様にショートバウンド送球。これで来日初の2失策となった。「(エラーのことは)勘弁してくれ。この次は頑張るよ」。バットの方も札幌シリーズ無安打で、ここまで11打席も音なし。「調子はいいんだが…」と最後まで表情は暗かった。

 ◆欠場 坪井智哉外野手(26)が10日に続き横浜戦(札幌)を欠場した。8日の巨人戦で右かかとを負傷し大事を取ったもの。13日の中日戦(甲子園)から復帰できる見込み。

(24勝29敗1分:6位)


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