球の見極め甘い虎打線
積極性は評価できるが…
野村監督がビール瓶を右手に持って、ほほ笑んでいる。その横に「ラガーは苦い。人生のようにそこがうまい」というコピー。阪神電車の車内つり広告で、キリン・ラガーの宣伝ポスターを何度か目にした。
失礼なことだが、最初に見た時、不思議なキャッチ・コピーだな、と思った。「そこ」の部分に「底」という漢字を当てはめてしまったからだ。やがて「そこ」は「苦い」がかかっている言葉と気付いたが…。
それにしても、阪神は見事なばかりにドン底。投手が何とか持ちこたえる。だが打線が点を取れない。この繰り返しが、この日も続いて、ついに7連敗だ。
初回、先発の山崎が池山の犠飛で1点を奪われる。しかし2回、二塁打の新庄が捕逸で三進、それを矢野が迎え入れて、すぐに同点に追いついた。矢野の中前打は実に14日の横浜戦の5回(2死二塁から浜中が左前適時打)以来、阪神にとっては24イニングぶりのタイムリーだった。もっとも3回以降の攻撃ではまた適時打がなく、8回にヤクルトに2点をもぎ取られたのだった。
ベンチに清めの塩を盛り、2試合連続で大事な場面で見逃し三振をしたベテラン和田を先発メンバーから外して臨んだ試合には、首脳陣のそれなりの覚悟が垣間見えた。そうであっても、攻撃面では全体的にチグハグな印象をぬぐえない試合になってしまった。
実は2回も平塚が左前打、大豊は強攻させて一ゴロ併殺になった後の攻めだった。4回は無死一塁で4番平塚にバントをさせたかと思うと、5回の無死一塁では星野に強攻させてまた併殺。もちろん5回の攻撃などは、星野の次が投手の山崎という事情もあったろうが、この難局を打開するには、1つでも先の塁を、地道かつどん欲に追求するしかないのではないか。
この日の阪神打線は比較的若いカウントから打って出た。ところがヤクルト先発の伊藤は「肩が軽くて、球が高めに浮いていた。調子はもうひとつだった」と話している。スッポ抜けの高めや指に引っ掛かり過ぎのワンバウンドが多かったのに、6回までに四球は0。積極性は評価できても、球の見極めはどうだったか。
これからはビールがうまい季節の到来だ。そうだというのに、こんな戦いばかり見せつけられては、阪神ファンはビールの苦さばかりが舌にしみ、本来のうまさを味わえない羽目に陥ってしまう。
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